Page 77 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼京都ラーメンオフ会ヽ(´▽`)ノ みぽりん@わかば 07/9/18(火) 1:20 ┣上賀茂神社写真 みぽりん@わかば 07/9/18(火) 1:44 ┣今宮神社写真 みぽりん@わかば 07/9/18(火) 1:49 ┣バスの中で…。 みぽりん@わかば 07/9/18(火) 1:53 ┣おやつー みぽりん@わかば 07/9/18(火) 2:07 ┗感想などー。 みぽりん@わかば 07/9/18(火) 4:30 ┗京都オフ会:行動記録(注:みぽりん視点) みぽりん@わかば 07/9/18(火) 17:16 ┣編集してみました りっか@半わかば 07/9/18(火) 22:39 ┗七不思議その壱(オフ会で生まれたネタ) 信乃 07/9/19(水) 1:05 ┣七不思議その弐(オフ会を元にしたネタ) 信乃 07/9/21(金) 3:21 ┃ ┗七不思議その弐(続き) 信乃 07/9/21(金) 3:21 ┗イラスト(未完成) ミツキ 07/10/22(月) 23:52 ┗ありがとうございます 信乃 07/10/23(火) 21:35 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 京都ラーメンオフ会ヽ(´▽`)ノ ■名前 : みぽりん@わかば ■日付 : 07/9/18(火) 1:20 -------------------------------------------------------------------------
オフ会のことですー。 参加者:七比良摂政さま、久音さん、信乃さん、りっかさん、ミツキさん、みぽりん。 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; msn Opti...@p2190-ipbfp601tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp> |
お馬さんいましたー。 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; msn Opti...@p2190-ipbfp601tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp> |
今宮神社ー <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; msn Opti...@p2190-ipbfp601tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp> |
バスで、扉に貼ってあるシールを見たりっかさん。 「かき氷を連想させる」 その言葉に大爆笑しました。 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; msn Opti...@p2190-ipbfp601tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp> |
夕食の前後、おやつ食べ食べ、おしゃべりしたり、ゲームして遊びましたw <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; msn Opti...@p2190-ipbfp601tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp> |
感想などございましたらお寄せくださいませw <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; msn Opti...@p2190-ipbfp601tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp> |
京都オフ会:行動記録(注:みぽりん視点) ※みぽりんの記憶をたよりに書きました。うろ覚えもあるので、会話などきっちり正確でないかもー。 0,前日(当日??)深夜の焼き鳥屋さんにて りっかさんから、移動中の実況中継届く。一人ハイテンションなみぽりん。体を心配してなんとか寝かせようとする摂政さま。予定の確認のため、久音さん登場。真夜中に準備を始める久音さん&摂政さま。ミツキさんや信乃さんも顔を出してくれ、またまたハイテンションなみぽりん。当日の行動予定わかんないですーとみぽりんが言ってたら「焼餅→あぶり餅→宿」とおしえてくれたりっかさん。さすがです!! 1.宿屋で待ち合わせ 宿屋のロビーで待ち合わせ。みぽりんがおそるおそる近づくと、女性陣(りっかさん、ミツキさん)も何かいいたげ。「え、と、はじめまして??」と話しかけてみる。 そして、女性陣すぐに息投合! 男性陣(摂政さま、信乃さん)は柱やら椅子やらにもたれてウトウト。 徹夜だったらしい…。 そして、久音さん。時間になっても現れず。外を覗きにいくみぽりん。 少し離れた自販機のところに、立ってる男性発見。でもみぽりん、声かけずロビーへ。(当初、宿の前集合予定だったので、久音さんかどうか判断つかなかったですよー)。そのうちその男性が宿のロビーへ。久音さん、無事合流!!ヽ(´▽`)ノ 2.ラーメン 宿屋さんに場所を尋ねながらラーメン屋さんへ。教えてもらった場所が少し違っててうろうろしたけど、なんとか到着。おいしくいただきました。 3.焼餅(上賀茂神社) バスに乗って、みんなで移動。 到着すると、神馬堂の前は行列!まあ、後にしようかと境内へ。 なんとなく、男の子、女の子で固まって行動。はしゃぐ女性陣(みぽりん??)、見守る男性陣。なんか展示物があって、みぽりん&ミツキさんは見に行くことに。思ったより時間かかってしまい(建物の中で清めてもらったり、おまつりしている神様のお話を聞かせていただいたり、けっこう盛りだくさんなメニューだったです(汗… )その間、りっかさん+男性陣はずーっと待っててくれました。(ごめんなさいですー!!ありがとでした) 途中から小雨がぱらつきながらも、なんとか神馬堂へ。そしたら焼餅は売り切れ。(がーん) 違うお店で買いました。 4.あぶり餅(今宮神社) 今宮神社の門を見た摂政さまが「ここが(かんなぎの)絵の参考にしたところだっけ?」。 「わかんないですー」とみぽりん。(2度ほど姫様に教えていただいた気がするけど、記憶になかったですよー)。でっかいハンコをみつけてまたまたテンションあがるみぽりん。見守るみなさん(笑) 男女で分かれて、2つのあぶり餅やさんに並び、食べ比べをしてみることに。 5.宿 女の子のお部屋に合流したあと、早速あぶり餅&もってきたお菓子を並べ始める女性陣。 みんなでつまみました。おいしかったですーヽ(´▽`)ノ なんとなくおとなしい男性陣。「猫かぶってる?」と失礼なみぽりん♪ 夕食後合流の約束をし、信乃さん別行動。(信乃さんは宿に泊まらなかったです) みんなで夕食へ。 6.夕食 もうすでにお腹いっぱいな一同。 お料理はおいしいけど、なんとなく箸がすすみません。 摂政さま、久音さん、りっかさんは鍋奉行。みぽりんはにこにこ食べてるだけー♪ 館内自販機のチューハイ持込OKだったので途中でみぽりん&りっかさんは買い物へ。 おいしいお酒をいただきました。 疲れもあり(徹夜)ビールを飲んでほろ酔いの摂政さま。そんななかでもTVの配線を確認してました。 (後でPS2接続してGPOのデータを写してもらった) そして、信乃さんとの待ち合わせ時間になっても食べ終わらない一同。 信乃さんはロビーで待っててくれました。ごめんなさいでした。 7.お部屋でゲーム 女の子部屋に戻るとお布団がしいてありました。さすが旅館です。 でも早速丸めて遊ぶ場所確保。そして丸まったふかふか布団に腰掛けてご機嫌なみぽりん♪ 早速PS2の配線を始める摂政さま。GPO白のデータ、写してもらいました。ありがとですーヽ(´▽`)ノ 緑にもあっちゃんを転戦させてくれる摂政さま。あっちゃん&舞ちゃんのかわいさに悶絶するみぽりん。りっかさんにぎゅーwしながら見てましたw その後、みんなでゲーム大会!! ウノでは久音さんが上がって、信乃さんのお隣になったみぽりん。「信乃さんのお隣―!いやー!!こわい!!」と言いまくったです。(失礼なみぽりん、ぱーと2w だって信乃さん、計画的に攻めてきそうなんだもん!!)そして、みぽりんに裏返したカードを選ばせながらも、先にあがる信乃さん。あうー。 次は久音さんが持ってきてくれたカードゲーム。さいころ振って、出た数字の表をみて、複数書いてある言葉からさいころ振った人が1つ選び、そこから連想する言葉を各自紙にかいて発表、自分+1人と同じ連想だったら得点なんだけど、同じ人と重なりすぎると得点が下がるというゲームをしました。説明上手な久音さん。難しい説明のゲームをわかりやすく解説しながら進行してくれました。 そして、みぽりんの連想に苦しむ方続出。(例:屋台から「わらびもち」。みぽりんの頭の中では信乃さんのSSのわらびもちエピソードが思い浮かんだです。「浜の喧嘩祭【神輿出陣】」かな。その前にみぽりんがリンゴ飴の話をしてたのを思い出してリンゴ飴に違いないと確信していたみんな、とくに信乃さんはあぜんとしていましたw) 苦悩する信乃さん。(いろいろな可能性を考えて答えを出していらっしゃいました)そして、何も考えていないりっかさん(本人談)&みぽりん♪ ゲームの途中で摂政さまはおねむ。お部屋のすみっこで横になってました。 8.翌日の予定 ゲームが終わった後、そういえば次の日の予定決めてないねーという話に。 なかなか決まらず、帰宅時間のある信乃さんは、決まったら教えてくださいと言って帰りました。 みぽりんが昼過ぎに帰る&(みぽりんの)まったりしたいよねー、という話からカラオケ屋さんに行こうという話に。 9.女の子部屋 女の子だけになったお部屋はなんとなくまったりムード。おしゃべりしながらお部屋の片付けをしたり、順番にシャワーしたり、荷物をまとめたりしました。 おねむのミツキさんをはさんで、りっかさん&みぽりんはずーっとおしゃべり。 10.朝 眠いけど、なんとか起床。女の子は地下の大浴場へ。 湯船につかったみぽりん。熱いのが嫌でさっさと上がってしまいましたw 脱衣所で、ぼへーと髪を乾かしていたら、りっかさんとミツキさんが上がってきました。焦らせてごめんねー(汗 しばらくお部屋でぼへーっとした後、男性陣と合流して朝食へ。 眠さもあってか、一同なんとなくもくもくと食べる空気に。 そして、その静けさをかき乱すみぽりん♪漬物を辛がったり、一人にぎやかです。 11.信乃さん合流 女性陣の部屋でまったり過ごす一同。 予定時間になっても現れない信乃さん。渋滞にはまってしまったそうです。 チェックアウトをするころに合流。駐車場がみつからなく、一緒に遊べないとのこと。がーん!そして、ミツキさんにイラストを依頼する信乃さん。きょとんとするミツキさん。そういえば前日、「信乃さんが清水から飛び降りる話を信乃さんが書いてー、ミツキさんに絵を描いてもらってー」と雑談まじりにみんなで話してた気がする。信乃さんは、朝お話が頭のなかでまとまって、執筆していたらしい。さすが信乃さんです。 京都にくわしい信乃さんに、遊べそうなところを教えてもらい、信乃さんと別れて移動。なんか、いろいろ遊べる施設でカラオケすることに。 12.カラオケ (みぽりんの)時間の関係で一時間だけカラオケをすることに。 ミツキさんがお店の人にいろいろ聞いてくれ、カラオケのお部屋に。 久音さんの女性音域まで出せる声にびっくり!!盛り上がってきた頃に時間となりましたw 13.バス移動 旅館に荷物を取りに行った後バスで京都駅まで移動。みぽりんはそこで別れました。 帰りの新幹線では爆睡しながらも、なんとか帰宅!! <感想> チャットではよく遊ぶけど、初めてリアルにお会いしました。 文字で拝見していたイメージと違うところもあったけど、行動や口調はやっぱりいつもお会いしているみなさんで、そのあたりがすごく面白かったです!!(ちなみにみぽりんも「チャットと変わらないね」と言われましたw) 姫様や空さん、燕丸さんは、焼き鳥屋さんにメッセージを残してくれました。ありがとでした。 またみんなでオフ会しようね!! 読み返してみて…。 買Iフ会中みぽりんわがままし放題だった?! <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; msn Opti...@p2190-ipbfp601tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp> |
http://www.k4.dion.ne.jp/~leafsnow/off/off1.html 訂正、追加コメントなどありましたらよろしくお願いしますです。 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 6.0; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; ...@KD121105071123.ppp-bb.dion.ne.jp> |
とりあえず、朝書いたのをそのままあげてます。(もしかしたら手直し入れるかもです) オフ会メンバで構成する、を基本に作っているので、***の中はミツキさんの絵がない時用です。イラストが上がってきたら削除の方向で考えてます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 巫の山奥にはとても古い寺がある。名前はまだない。 この寺は藩国大改修の際に偶然見つけられた古い荒れ寺で、現在神祇官たちの間で、どう扱うべきか、と話し合われている最中だからである。 それとほぼ時を同じくして、庶民の間でも神祇官と同じように、この寺に関してあれやこれやと議論を繰り返されることが多々あった。 曰く、夜な夜なこの寺から女の悲鳴が聞こえる、と……。 「これは絶対犯罪だと思うのです!!」 珍しくみぽりんが仕事にやる気を見せている。こんなときに自分ひとりしかいないとは、自分の不運を七比良鸚哥は嘆いた。 「被害届けとか、事件があったなんて報告は来てないからね?」 「むむ、そうなんですかぁ!! これはきっと『大規模犯罪組織』が闇から闇へ葬り去っているのですよぉ!」 いや、そんなわけないから、と言葉にしても伝わりそうにない。鸚哥は余分な労働は早々に諦めた。 「じゃあ、その案件はりっかさんにお願いしておきます。みぽりんにはほかの仕事をやってもらいたいんですよ」 これなら波風も立たずうまく収まるだろう、そう考えた鸚哥はやんわりとみぽりんの意見を退けて、この話を打ち切ろうとした。 が……。 「りっかさんは働きすぎなんでよくないと思います! それにこれはりっかさんの仕事でなく、みぽりんの仕事だと思うのです。そう……、護民官の名にかけてぇ!!」 どことなく芝居がかった言い回し。最後の一言が言いたかったのだろう。何に影響されたんだか……。鸚哥は頭を抱えた。 「じゃあ、りっかさんでなく信乃さんに。信乃さんなら護民官の資格も一応持って……、みぽりん?」 抱えた頭を少しもとの位置に戻してみれば、みぽりんの姿はインコの前から消えていた。 では調査にいってくるのですー、と執務室の扉の奥から、風に乗ってみぽりんの声がした。 山奥、――――というほどのところでもないのだが、裏の山地に足を踏み入れてからもう二刻近くはたっただろう。大声で歌を歌いながら茂みを書き分けて進んでいくみぽりんの背中を眺めながら、柊久音は本日三度目の同じ道を歩いて後につづいていた。 「あー、ありましたよ、久音さん。礼の寺発見です〜!!」 これでおおよそ、山の外周を三周半したということか……。 一週目で注意した時は、そっちからは犯罪の臭いがしない、と拒絶され、二週目では、こっちから悪意を感じるです、と無視されて、三周目にしてようやく、自分で発見してくれた。 「けど、こんなに遠いとは思わなかったですよぉ。今日中に帰れるですかねぇ……」 「大丈夫です、帰りは任せてください。三倍は早く帰れますから」 「ほえ? なんでですか?」 「それは……、あっ、そう、ちょっとした術を、施しながら道を進んでたんですよ」 かくして、真実と事実は異なっていくのである。 「すごいですー、さすが久音さんです! じゃあ、目一杯今日は調査するですよ! 久音さん、頑張るですよ! おー!」 帰る時に言うべきだった……、久音は後悔を引きずりながら、みぽりんは、そんな久音を引きずりながら、二人は境内へと駆けていった。 ここ、『名もなき寺』は、基本的にどこにでもある寺と変わらないありふれた造りになっている。ただひとつ、寺の裏手は普通壁になっているのだが、この寺はそこからさらに上へと進む階段が一つ取り付けられていた。石段の数は百八、十一丈ほどの高さである。その先には檜で作られ(改修され)た舞台が設えられているのだが、それが何のために作られたのかは知っている者は今のところ調査団でも解明できていない。まさか展望台でもあるまいに、と冗談を言う者もいるが、絶壁の上に作られて巫の国を一望できるその舞台は、巫の中でも一、二を争えるほどの絶景である。 屋根裏から軒下、果ては竃の四隅から、神祇官の寺調査団顔負けの調査を行ったみぽりんと久音だったが、みぽりんの探す犯罪の痕跡は当然ながら見つからなかった。時折、これはー、あれはー、とみぽりんが大声で叫ぶが、それらは久音が取りまとめ、後にこの寺の歴史を謎解く根拠として神祇官達の間で長く語り継がれることになる。 「さて、あとはこの上の舞台だけですね。みぽりんこの上が一番怪しい気がするですよ」 みぽりんが百八段の頂上を睨むように眺めながら、まだまだ気力溢れる声で言った。 二つの対称的な足音が頂上も後少しのところまで来た時、ふと耳に人の話し声のようなものが入ってきた。その音にみぽりんは目を輝かせ、久音は表情を引き締めた。 「まさか……」 「ふふふ、さすがみぽりんの勘はよく当たるですよ! 大人しくお縄につきやがれですーっ!」 二人が急ぎ足で階段を駆け上がると、舞台には見知った二人の姿が目に入った。藍の狩衣姿の男、白拍子装束の女。 「りっ……」 「し……」 二人がそれぞれの名を呼ぼうとした直後である。 男が女の背を押して、舞台から突き落とした。 「きゃあああああああああ!!!!!!!!!!!」 天をも振るわせるような大絶叫。みぽりんも久音も耳を押さえて足を止めた。 そうしてできた一瞬の隙間、今度は男の方が自ら足を進めて舞台から飛び降りた。 「「Σっ!!」」 二人は束の間茫然と顔を見合わせ、そしてはっと我に帰る。 「な、ななんれすか〜? 信乃さんがりっかさんを突き落として、信乃さんが飛び降りたですよ@@@@」 「な、なんですかね? えっと、これは……、心中?」 「Σ!」 「い、いや、それよも救助が先か!?」 二人がおろおろとした足取りで、信乃とりっかの最後に立っていた地点へと近寄っていく。 後数歩のところで、舞台の下から女の姿が浮き上がってきた。両手には信乃を抱えており、信乃の両手には目を回しているりっかを抱えている。 「ゆ、ゆうれいです〜っ!!! ナンマンダーナンマンダー」 みぽりんは泣きながら、震える手を擦り合わせて何度も何度も口に唱える。 「あれ、お二人ともどうなさいました?」 政庁でよく見かけた顔、信乃は二人の前で首を傾げて空を飛んでいた。 ちょっと待っててくださいね、と言った信乃は、ぐるぐると目を回しているりっかを舞台の中央で寝かせ、二人を抱え上げてきた女に二言三言指示をした後、みぽりんと久音の前に戻ってきた。 「で、どうしました?」 相変わらず、平素の顔で問いかける信乃。それを見るみぽりんも久音も、だいぶ落ち着きを取り戻してきてはいるが、何と声をかけたら良いものか、とうまく言葉が出てこない。 「あの、何をされていたんでしょうか?」 かろうじて声を出せたのは久音だが、つまったりかすれたり、平素の口調とはほど遠い。 「降下訓練の練習ですよ。ほら、いつまた前みたいな戦闘があるかわかりませんから、少しでも訓練をと思いまして」 「訓練……ですか?」 「で、でも、ぱらしうとがないですよ! そんなの危ないです! りっかさん死んじゃってます!」 「いや、まだ生きてますから。それに、パラシュートがなくても、僕もりっかさんも式神がいますから。というより、その式神で飛ぶ訓練って言った方が良かったですかね」 「式神で?」 「飛ぶ、ですか?」 信乃は返事の代わりににっこりと笑って頷いた。 「ゆかり、――あ、僕の式神ですが、女の人型でも空を飛べますからね。りっかさんや、みぽりんさんや摂政さまは元々空の飛べる鳥の式神ですし、ずっと訓練していけば、降下作戦だけでなく、通常の戦闘でも空を飛べるようになるかもしれませんよ。まあいきなり空飛ぼうってのも無茶な話ですから、ゆっくりと降下できるくらいは練習しましょうってことで、りっかさんと二人で練習を組み立ててたんですよ。実戦がなくなって兵部省も暇なんです」 感心しているのか、呆れているのか、二人は、はぁー、と気のない返事を無意識に返しながら信乃の説明を聞いていた。 「じゃあ、お二人もちょっと飛んでみますか?」 「「へ?」」 二人はきょとんとした顔で信乃を見る。 「ゆかり、もしものときは二人を頼んだよ」 いつのまにか、信乃のすぐ隣に、ほんの少しだけ空を浮く女性が、こくりとむくれた顔で小さく頷いた。 「二人は重いから嫌ですと申し上げてますのに。信乃様は無茶ばっかりお言いになるのだから」 「じゃあ、いきますよー」 信乃の声が聞こえたと同時、横から力を加えられた二人の足下から、檜の舞台は消えていた。 「「きゃああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」」 その翌日から、寺の悲鳴の噂には男の声も聞こえるようになった、と付け加えられて庶民の間に広がっていった。 *** 「きゃあああああああああ!!!!!!!!!!!」 今日も天気は晴れ時々りっか、一時叫び声。 りっかさん頑張ってるなぁ、急降下してくる参謀達を見上げながら、ミツキは三段に積んだ重箱を抱えて舞台下の山道に立っている。 空から降ってきたりっかを、後から追いかけてきた信乃が地面間際で掴み、そして、ゆかりが二人を抱えて元いた位置へと上昇していく。上がる間際、信乃がこちらを見て軽い会釈と微笑みを残して去っていく。ミツキは笑って手を振りかえす。 何かお手伝いしましょうか、と申し出たが、今はまだ指南書を作っているところなんでいずれ、と信乃に返された。けれど何もしないでいるのも悪い気がしたミツキは、たまにこうして食事の差し入れを舞台上まで持っていき、三人で夕食をとっている。ここで待っているのは、わざわざ山道を上がらなくても良いからだ。信乃の式神が上まで連れて行ってくれる。 さて、上にあがる準備を、とミツキは重箱を胸の前で抱え直し、ゆかりが迎えにくるのを待つ。だが今日は、ゆかりではなく、りっかではない別の叫び声とともに、二つの影が落ちてきた。 「「きゃああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」」 男と女の悲鳴、久音とみぽりんの姿がミツキの目で認識できるようになった時には、ゆかりが二人の間に入って、右手で久音、左手でみぽりんを抱え、降下速度が減速しはじめた時だった。 「こんばんわ、ミツキ様。こちらのお二方を先にあげますので、もうしばらくお待ち下さいませ」 「いえ、お気になさらずに。今日もお疲れさまです」 では、と一言残してゆかりは舞台上へと飛んでいった。 みぽりんさんや久音さんも参加してるってことは、もうすぐ本格的な訓練の始まりかしら、そう考えたミツキは抱えていた重箱を地面に置いて、えい、えい、と近くに生えている大木を押してみた。当然ながら木は微動だにしない。 ――うー……、力のない私で、信乃さんみたく上手に落とせるかしら……。 ひらひらと葉っぱが一枚、ミツキの頭の上にゆっくりと降り立った。 *** みぽりんが寺の調査を始めてから数日、執務室は静かな日々が続いていた。 俺の思い過ごしだったか、と七比良鸚哥はいつになく快適に進む通常業務を行っていた。 今日の仕事も後少し、とまだ日も高いのにこんなに早く仕事が終わる日が来るとは、と感動にうち震えていた鸚哥の元へ、久方ぶりのみぽりんが現れた。 「おや? みぽりん、どうしました?」 週に一度は修理屋を呼ぼうか考えさせられる勢いで扉を開けるみぽりんが、今日は音もたてずに扉を開いた。少しの怖さを覚えながらも、鸚哥はみぽりんに問いかける。 「ふーふーふー、摂政さま、今度一緒にお空を飛びましょうねぇー」 それだけ言って、ぱたん、と静かに扉を閉じてみぽりんは立ち去った。 ただそれだけのことだったが、鸚哥の背筋には鳥肌が立ち、冷たい汗が流れた。 ……、空飛ぶ前に、国外にでも飛ぶか。 残りの仕事を急いで仕上げた鸚哥は、秘書に数週間先までの予定変更を告げたあと、家にとんで帰って数週間分の荷造りを始めた。 <了> <Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/419.3 (KHTML, like...@kkgw119n021.catv.ppp.infoweb.ne.jp> |
七つも作れるかしらん、と思いつつも二作目。あと五つ。 基本的な流れだけ作って、あとでまとめて追記修正をしていく予定です。 何でタイトル七不思議にしたんだか、あの日の朝に帰りたい……。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 最近街では「巫は天罰を受ける」と言った馬鹿らしい噂があちこちに流布していた。神仏の国として誕生した巫で何を馬鹿なことを、と人々は信じもしなかったし、笑い話として面白おかしく作り替えて世間話として持ち出す者もいた。それが、噂が一行に収束しない原因であったりするのだが、こうも話が広まると、信じてしまう者はどうしても出てくる。それが、みぽりんであった。 一昨日は姫巫女藻女に、昨日は摂政七比良鸚哥に、他、思いつく限りの人に相談のような愚痴のような不安をぶつけながら、今日も誰か人を捜して、政庁内をうろうろしていた。 「はう、ミツキさーーん!」 偶然にもミツキを発見したみぽりんはミツキを呼び止めた。会話の始まりはやはりあの噂からである。 「ミツキさん、知ってますか? もうおすぐ巫に天罰が落ちるらしいですよ〜。みぽりん難にも悪いことしてないのにどうして天罰が落ちるですかぁ」 子犬の鳴き声のような震えた声で、うじうじと愚痴をこぼす。 「それは信憑性のないただの噂ですから。ほら、先日まで戦争があったでしょ。そのせいで街中が不安定なんですよ。だからあまり気になさる必要もないと思いますけど」 「皆そう言うですよ。けど、本当に天罰があったらどうするですか、みぽりん死んじゃったらどうするですか、あううう、もっと美味しい物いっぱい食べたかったですよぉ〜」 突然泣き出すみぽりん、どうして良いのかわからず、おろおろするミツキ。 そこへ有馬信乃が通りかかった。左手に持った書類をじっと見つめながら、気難しそうに顔を歪めている。二人に気付いていないのか、信乃はそのまま通り過ぎようとした。 「信乃さんっ」 呼び止めたのはミツキである。そこでようやく信乃は二人を見て、こんにちわ、と挨拶をした。 「どうしました?」 「それが、みぽりんさんが天罰の噂のことを気に病んでおられて……」 信乃がみぽりんの方に視線を移したが、あうー、と両手で目を押さえて泣いている。信乃はしばらく考え事でもしていたかのように顎に手を当てじっとしていた。 「じゃあ、みぽりんさん、ここに言ってみると良いですよ」 信乃は手に持っていた書類をみぽりんの前に差し出す。 「ほえ、何ですか?」 「天罰から救ってくれるえらい人がいるんだそうです」 みぽりんはその書類を手にとってまじまじと眺める。ミツキも横から覗き込んで、内容を確かめる。 「信乃さん、これは……」 ミツキが何か言おうとしたが、信乃は口の前で人差し指を立てて、それ以上は言わないように、と言葉を遮った。 「ほんとにここ行くと助かるですか?」 「ええ、もちろん。そこに行けば天罰が落ちるなんて話はなくなりますよ」 「じゃあ行くですー」 みぽりんはぱあっと表情を明るくして、目的地に向けて走り出そうとした。 「あ、ちょっと待って。そこに行くには、入会金とか色々と準備が必要なんですよ。その辺は僕が用意しておきますから、今日は家でゆっくり寝て、明日行ってもらえますか?」 「はーい。信乃さんありがとですー」 とてとてと廊下を走ってみぽりんは立ち去った。 残された信乃とミツキ。 「信乃さん、さっきのあれって……」 「ん? ミツキさんも行きます? みぽりんさんだけだとちょっと不安もあるんで、行ってくれると助かりますけど」 「え……、あ、はい。じゃあ……、行きます」 「それは良かった。じゃ、僕は準備があるんでお先に。用意ができたらお呼びしますんで、僕の部屋まで来てくださいね」 さっきまでの気難しそうな顔はどこへやら、にこにこと怪しげな笑みを浮かべて信乃はその場から去っていった。 信乃に貰った地図と入会金を手に、みぽりんとミツキは長谷寺の前に立つ。門番のように二人の男が入り口に立っているが、兵士とは違って人好きするような笑顔を浮かべている。 「ごめんくださーい、ですー。入会に来たですよ」 ようこそ、と門番の一人が二人の前にやって来て、中へと案内してくれた。由緒ある寺なのか、所々痛みで破損している部分が目立ち、さらに掃除も行き届いていないようで、梁や隅にはうっすらと誇りが溜まっている。 通された奥の広間では、神官服を纏った男が扉側を向いて座り、向き合う形で十人ほどの一般人がそれぞれの前にある文机に向かってせっせと書き物をしていた。 「ようこそ上賀茂教へ。入会希望の方ですか?」 神官の男がみぽりん達の前へとやって来る。 「はいですー。今日からお世話になりますですよ」 「ははは、元気のよいお嬢さんですね。ではまず、入会金のことはご存知でしょうか?」 「入会金ですかぁ?」 みぽりんは首を傾げてミツキを見る。 「はい、もちろんです。こちらに、入会金と年会費をお持ちしております」 「おぉ、年会員をご希望ですか。きっとあなた方にはより多くの幸せが訪れることでしょう」 ミツキは信乃が用意してくれた入会金を神官に差し出す。神官はさっそく包みを開いて、中に入ったお金を勘定する。 「入会金十万わんわん、年会費、百二十万わんわん、お二人で合わせて二百六十万わんわん、たしかにお受け取りいたしました」 二百六十万! ミツキは一瞬自分の耳を疑ったが、用意したのは自分ではなく信乃である。あきらかに何か裏がありそうだわ、と昨日見せた信乃の笑顔を思い浮かべていた。 「では、一年の間こちらに泊まり込みで修行して頂きます。では、奥の間の方へ。修行に関する説明をさせて頂きますんで」 神官が先頭に立って、みぽりん、ミツキがその後についていった。 今日も良い汗をかいた。みぽりんは額に溜まった汗を拭いながら、自分の修復した後をみてにこりと満足の笑みを浮かべる。 本当は写経の修行がしたかったのだが、ミツキに止められて渋々寺修復作業を始めたのだが、三日も経たないうちに、大工仕事の面白さに気付いてしまった。特に欄干や仏像の彫り物作業はみぽりんにとってのツボでもあった。久しぶりに面白いあそび……、否、修行である。 さて、ごはんにするです。今日もいっぱい修行したからお腹ぺこぺこですぅ。食べ放題、食べ放題♪ みぽりんは軽やかな足取りで食堂へと向かった。 そのすぐ後のこと。 ――なんじゃこりゃーー!! みぽりんの作業場から素っ頓狂な作業監督の叫びが聞こえてきたのは、これで七回目である。 入会から二十日余りが過ぎた。これと言ってたいしたことは起こっていない。もちろん、巫に起こるらしい天罰しかり、である。みぽりんはこれを修行の成果です、とはしゃいでいたが、ミツキは表でこそ、みぽりんに同意しているが、心の中ではそんな訳はない、と確信していた。 ここで行っている修行は写経と寺の修復。こんなことで天罰から救われるのであれば、まず巫に天罰が起こるはずがない。どこの寺でも毎日行われていることだ。それに、ミツキが行っていることは……。 さて、今日もお務めを、と写本室へ行き、いくつかの教典の原本をミツキは手にして文机の前に座る。原本を開くと、そこには見慣れた文字、他に持ってきた原本を開くも、やはりそこには見覚えのある文字ばかりだった。もう一度持って来た本を返し、原本を置いている棚の前でいくつかの原本を開くがどれもこれも一度手をつけたものばかりである。 どうしよう、全部終わってるみたいだ……。 ミツキは、一度書き終えた原本を一冊だけ持って、自分の机に戻り、今日は真面目に写本をすることにした。 その日の夜は月に一度の教団定例会議である。神官の男は、さて今月はどれだけの利益が出たことやら、とほくそ笑みながら会議場へと歩いていた。なにせ年会員を二人も獲得できたのである。それだけでも通常の三倍以上の収入であった。これを機に一気に教団を大規模に、などと、ついつい野望が膨らんでしまう。 会議場に入室したのは神官の男が最後であった。他の顔ぶれは、写経監督、修繕監督、そして会計係の三人だけである。実質この教団を動かしているのはこの四人だけで、残りの教団職員は派遣社員である。 神官が席につき、一同の顔を見渡した。会議を始める前の習慣のようなものだ。しかし、いつもとはなんとなく雰囲気がおかしい。誰もが申し訳なさそうな、問題を抱えているような、そんな顔つきだった。 「さて、会議を始めるとしようか」 神官の男が開会の言葉を口にすると、まず始めに会計係の男が手をあげて発言の許可を求めた。神官は会計係を見て、一つ首を縦に振る。 「大変申し上げにくいことなんですが……、今月は赤字が出ました。それも、大量の赤字で資金の半分くらいになっています……」 「なに!? どういうことだ!?」 大声を出して驚いたのは神官一人で、写経監督も修繕監督も黙って俯くだけである。どうやら彼らは事情を知っているようだ。 「はい……、まず、主な収入源である写本なのですが、こちらの大量返品が発生しております。その……、ここ一週間うちから出荷した写本は全て誤字脱字、中にはまったく内容が違う文章に変わっているとかで、どこの書店からもうちとはしばらく取引ができない、と通達がありました」 「どうなってるんだ?」神官は写経監督を睨む。 「そ、それが私にもさっぱりで。返品された写本とうちに置いてある原本を比べてみたのですが、どこにも違いはないんです。ですから、なぜこのようなことになったのか、見当もつきません……。あ、ですが、一つ朗報がありまして。昨日なんですが、巫国営図書館の方からあった大量の注文を配達してまいりました。明日にはその分のお金が支払われますので、赤字分の何割かは解消できると思います」 「そうか。で、他には?」神官の目がまた会計係の方へと戻る。 「はい。次が修繕作業の方なんですが、資材が大量に購入されているのですが、修繕の方が一行に進んでいないと言いますか……。廃棄量の方が上回っている状況でして……」 今度は修繕係が神官に睨まれる。 「それが、ですね……、一人、作業熱心で且つ仕事の速い女がおるのですが……」 「なんだ、それは良いことではないか」 「いえ、それが、その……、釈迦尊にゴスロリ衣装を着せたり、裸の男に葉っぱ一枚だけを纏わせた欄干を作ったり……、とにかく寺として仕えない彫り物ばかりを作るのです。何度注意しても、こっちのほうがかわいいですぅ、と言って、こちらの言葉を聞きません。なんとかしてください……」 「なんだ、それは……。まあいい、そいつには明日から写経に配置換えさせよう。……、で、問題はそれだけなのか?」 神官に視線を向けられ、会計係は首を振る。 「もう一つあります。先日年会員の方が入会されてから食費が倍に跳ね上がっております……。年会員の方は食事が食べ放題ですので、こればかりは止めようがありません」 「ちょ、ちょっと待て。入ったのは女二人だぞ。それで食費が倍……、女二人で二十人前も食べているということか!?」 「はい……、正確にはもうすこし少ないかと思いますが、食堂が二日分としてまとめて買ってきた物を一日で食べ尽くしてしまうとかで……」 会計係はどうしましょうと言った目で神官を見つめる。 神官は頭を総動員させて食費をどうするかを考えた。しかし名案が思い浮かばない。本来ならある程度の食事制限を設ければ済むことではあるが、ここでその策は使えない。一歩間違うと計画の全てが破綻する可能性があるからだ。 食事の自由、は巫国民を操る上で最も重要な点である。賃金が安かろうが、労働が過酷だろうが、食事さえしっかりと食べられるなら不平不満の七割は押さえられる。それが巫の国民性。 「とりあえず、だ。今日はこれで一旦解散、明日の夜にもう一度この件について話し合いを行う。それぞれ各部署の対処法を考えておくように」 苛々丸出しの態度で、神官は席を立って会議場を後にした。 <Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/419.3 (KHTML, like...@kkgw119n021.catv.ppp.infoweb.ne.jp> |
翌朝早く、どたどたと慌ただしい足音を耳にして、ミツキは目を覚ました。いつもなら起床時間です、と教団職員が起こしにきてくれるのだが、その起床時間よりもまだ早いようである。 そそくさと着替えて、騒ぎのある方へとミツキが向かうと、そこには信乃と理力隊の一隊が教団の幹部や信者と争っているところだった。 「あの、何があったんでしょう?」 ミツキは遠巻きに信乃達を眺めながら、近くにいた年配の信者に声をかけた。 「何でも神官様が詐欺をしていたんだと。ほれ、俺達が写経してたもんがあっただろ。実は原本が真っ赤な偽物で、俺達が写本した物を本物として売りさばいてたんだとか」 ミツキの胸がちくりと痛む。原本を全て書き換えたのはミツキだからである。入会金を受け取りにいったとき、信乃にそう指示されていた。 やがて、教団幹部と言われていた四人が信乃達に連行されていって騒ぎは一旦沈静化された。しかし、それも束の間のことで、残された信者達は一帯何があったのか、これからどうしたら良いのか、と動揺が走ってざわざわと騒ぎ出す。 「ほぇ、おはようですぅ。何かあったですか?」 そこへ、眠たげな目を擦りながらみぽりんがやって来た。ミツキは挨拶をして手短に先ほどの事態を説明する。 「ほえー! 神官様が捕まったですか!? 大変です、巫に天罰が落ちるですぅっ!!」 突然上がったみぽりんの叫び声、一瞬静まった信者達はみぽりんに視線を注ぎ、そしてみぽりんと同じように、誰もが叫び、誰もが泣き出した。ただ一人を除いて。 どうしよう……。 ミツキは途方に暮れる。だが、周りが泣くほどに、叫ぶほどに、自分の心がひどく落ち着いていくのがわかった。 「みなさん! いい加減に泣くのはやめて、少し落ち着いてください!」 こんな大きな声、巫に来て初めてだろうなぁ、まったく関係のないことが頭の中に浮かんでくる。自分がひどく冷めていることがよく理解できた。 「大丈夫です、巫に天罰なんて落ちたりしません! 私達には姫巫女様がいるじゃないですか、たくさんの神様がいるじゃないですか。今まで私達を護ってきてくれた姫巫女様や神様を信じないでどうするんですか! 私達が偽物の修行をしている間、天罰なんてありましたか? 何もなかったじゃないですか。姫巫女様やたくさんの神官の方が本物の修行をして私達を護ってくれているんです。だから私達は何も心配することはないんです。その方達を信じて、神様に感謝して暮らしていれば、天罰なんて落ちないんです!」 さあっ、と波が引くように静まり返る泣き声、叫び声。拳を握りしめて立つミツキ。自分の姿にはっと気付いて頬を染める。恥ずかしい……。 「そうです、姫さまがいるですよ。今からお願いしに行くですよ! ミツキさん、行きましょ〜!」 みぽりんが大声で言って、拳を握るミツキの腕を掴んで、引きずるように駆け出した。 「え、ちょ……、みぽりんさん!?」 きゃぁー、とミツキの叫び声が、長谷寺からゆっくりと消えていくまで、その場にいたもと信者達はずっと黙ったまま、彼女達を見送っていた。 日の暮れた政庁の表門、ミツキは門扉の影からそっと顔を覗かせて通りを見る。今日も十人からの男達がたむろしている。どうしたものだろう、と一つため息。 あの事件から数日が過ぎた。どこでどう知られたのか、ミツキが政庁に務めていることが元信者達に発覚し、毎日帰りを待ち伏せされている。 「そんなところで、どうしました?」 後ろを振り返ると、信乃がこちらに向かって歩いてきていた。どうやら仕事終わりでこれから帰るようである。 「あの……、外に……」 ミツキが指差した先を信乃が見る。 「あぁ、親衛隊の皆さんですか」まるで子犬か小動物かを見るように、微笑ましそうな顔で信乃が笑う。「日に日に増えてますねぇ」 はじめは二人か三人だった。長谷寺でのお話に感動しました、と自分たちの目を覚ましてくれたことに対する感謝を述べに来ただけだった。それが翌日には倍に、さらにその次には倍に、気付けば二桁にまで達したのである。よく顔を見ると長谷寺にはいなかった者までが、なぜかミツキに会いに来ていることもある。 「なんとかしてくださいー」 「何とかと言われても、別に害はないんでしょ? どうせならたまには皆さんに食事でも奢ってもらえばいかがです?」 信乃は、はははと笑っているが、ミツキの顔は泣きそうなほどに歪む。 「うー、元はと言えば信乃さんのせいじゃないですか。だったら最後まで責任もって処理してください」 「え……、あ、いやぁ……。あ、そうそう、ちょっと仕事を思い出したんで、この話はまた明日にでも」 では、と手をあげて信乃は表門をくぐって政庁から出ていく。 「仕事って、そっちは政庁じゃないです!」 逃げられた、と思った時にはもう遅かった。信乃は親衛隊の中へと入っていく。ミツキには追いかけられない経路を巧妙に選択している。 はう、と大きなため息をまた一つ。そして、遠回りになるけど裏口から帰ろう、とこそこそ隠れるようにして、ミツキは裏口へと足を進めていった。 <了> <Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/419.3 (KHTML, like...@kkgw119n021.catv.ppp.infoweb.ne.jp> |
忘れてません。 長いこと描いて無くてすみません。 信乃さんの式神から考えてみました。ゆかりさん。 挿絵にあたる絵はもうしばらくお時間下さい〜 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)@p6235-ipbfp605osakakita.osaka.ocn.ne.jp> |
わぁー!! きゃー!! こんな可愛くなるなんてっ! どつぼにはまってとっぴんしゃんです>< ぬけたらどんぶらこです(錯乱中……) もっとちゃんと名前を考えてあげればよかった……orz (注「ゆかり」名前の由来はお好み焼き屋さんから 有馬信乃はこれからしばらく出仕も参内もせずに引き蘢ります。 ゆかりの膝枕でぼへ〜っとふぬけて暮らしますノシ 素敵すぎるイラストありがとうございます。 <Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/419.3 (KHTML, like...@kkgw119n021.catv.ppp.infoweb.ne.jp> |