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 ▼みぽりん投稿用  みぽりん@わかば 07/4/1(日) 14:03
   ┣<ss>くんくんなんだかいいニオイ  みぽりん@わかば 07/4/1(日) 14:07
   ┃  ┣Re:1<ss>くんくんなんだかいいニオイ1  みぽりん@わかば 07/4/2(月) 2:49
   ┃  ┣Re:1<ss>くんくんなんだかいいニオイ  みぽりん@わかば 07/4/2(月) 3:01
   ┃  ┣Re:直し3<ss>くんくんなんだかいいニオイ  みぽりん@わかば 07/4/2(月) 3:10
   ┃  ┗Re:題名変更「くんくんくん」(<ss>くんくんなんだかいいニオイ)  みぽりん@わかば 07/4/2(月) 23:55
   ┣Re:みぽりん投稿用  みぽりん@わかば 07/4/7(土) 0:28
   ┣みみかき  みぽりん@わかば 07/4/7(土) 23:52
   ┣Re:みぽりん投稿用  雹 07/4/7(土) 23:57
   ┣<ss>ひととき  みぽりん@わかば 07/4/9(月) 21:01
   ┃  ┗お返し  信乃 07/4/12(木) 1:47
   ┣<SS>温☆泉 ばにっく  みぽりん@わかば 07/4/11(水) 17:49
   ┣Re:みぽりん投稿用  みぽりん@わかば 07/4/22(日) 19:26
   ┃  ┗Re:みぽりん投稿用  みぽりん@わかば 07/4/22(日) 20:26
   ┣Re:みぽりん投稿用  みぽりん@わかば 07/4/23(月) 3:11
   ┣<  みぽりん@わかば 07/5/11(金) 19:12
   ┃  ┗上記は<SS>手紙  です。  みぽりん@わかば 07/5/11(金) 19:20
   ┣あすふぃこさん  みぽりん@わかば 07/5/13(日) 16:52
   ┣みこみこ  みぽりん@わかば 07/5/13(日) 17:44
   ┣ちゃいな  みぽりん@わかば 07/5/13(日) 19:38
   ┣ちゃいな ぱーと2  みぽりん@わかば 07/5/13(日) 23:23
   ┣姫様・ぱれお  みぽりん@わかば 07/5/16(水) 23:14
   ┣摂政さま水着  みぽりん@わかば 07/5/17(木) 0:17
   ┣摂政さま水着ー。  みぽりん@わかば 07/5/17(木) 23:21
   ┣たけきのこさま  みぽりん@わかば 07/5/18(金) 21:32
   ┣ゴスロリ摂政さま  みぽりん@わかば 07/5/22(火) 3:29
   ┣せくしー摂政さま  みぽりん@わかば 07/5/23(水) 4:04
   ┗女装もりむらさん  みぽりん@わかば 07/5/24(木) 1:28

 ───────────────────────────────────────
 ■題名 : みぽりん投稿用
 ■名前 : みぽりん@わかば
 ■日付 : 07/4/1(日) 14:03
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   前のツリーが大きくなったので立てさせていただきます。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : <ss>くんくんなんだかいいニオイ  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/1(日) 14:07  -------------------------------------------------------------------------
   <SS>

くんくんなんだかいいニオイ


 国境に変わった出で立ちの男が一人。
 烏帽子に狩衣、腰には大太刀。あまり神聖巫連盟では見かけない装いだ。
「あんた名前はなんていうの?」
 国境警備の男がダルそうに尋ねる。
「有馬 信乃(ありま しの)と申します」
 希望に満ち溢れた瞳。警備員のダルそうな様子は信乃の目に入らない。
「そうかい。じゃあ、このまま政庁に向かってくれ」
 国民になるための最終手続きは、政庁でするという。
 お礼を言って、信乃は国内に入った。

 国境を抜けたとき、どこからか甘い匂いがした。
 くんくん、くんくん
 なんとなく、匂いを追い始める。
 くんくん、くんくん
 どれほど歩いただろう。
 信乃は大きな木造の建物の前に立っていた。


 そばにあった茶房<巫>で信乃はお茶と団子を頂いた。
(さっきの建物はなんだったんだろう)
 気になったが、どこか厳粛な場であるように思え、中には立ち入らなかった。
(でも、いい匂いだったなあ〜。けーき?いや、もっと香ばしかったなあ~)
 思い出してじゅるりとなる。
 ともあれ、お団子食べたら政庁に向かおう。
 でも、政庁ってどこにあるんだろう。
 そう思ったときだった。
「雹さん、まじで?」
「うん。仕事が増えた。新しいアイドレスを増やすことになったらしい」
 説明している雹(ひょう)と呼ばれた男も、拳を握り締め、ぷるぷる震えている。
「作業が、作業がー」「うおー」
 2人で言いながら叫んでいる。
 迫力におされて、視線がはずせないまま固まる信乃。
 なんかよくわからないが、大変らしい。
「うん?見かけない顔だな。どこからきたんだ」
 信乃の視線に気づいてさちひこが話しかける。親しみやすい雰囲気だ。
「にゃんにゃん共和国から参りました」
「遠くからだな。観光か?」
「いえ、国民希望なのですが、政庁がわからなくて」
「じゃあ、俺案内するよ。そっちの仕事もやってんだ」
 信乃はありがたく、お願いすることにした。
「じゃあ、雹さん、俺政庁にいってくる」
「おう、気をつけて」
 雹は手を振って送り出してくれた。


 さちひこに連れられて行ったのは、先ほどの大きな木造の建物。
「ここが政庁だ。こっちから入るんだぞ」
「はい」
 長い木造の廊下を歩く。右へ左へ、あちこち曲がる。
 きょろきょろしながら後を追う信乃。
「そういえば、名乗ってなかったな。俺はさちひこっていうんだ。さっきいたもう一人は雹さん。俺たち技族をやっている」
「技族の方だったんですか」
「よかったら、信乃さんも技族になるといいぞ」
 ずいぶん歩いたところで、
「もうじき着くからな、……ん!?」
 さちひこが振り返ったとき、信乃の姿はなかった。

「あれ?さちひこさん?」
 気が付くと信乃はひとりだった。
(どうしよう。このまま動かないほうがいいのかなあ。それとも…)
 そんなときだった。
 また、どこからか、甘い香りがただよってきた。
 くんくん、くんくん、
 気づくと信乃はにおいを追っていた。


 政庁の台盤所。
 今日も摂政、七比良 鸚哥(ななひら いんこ)がこもっていた。
 しふぉんけーき事件から一月と少し。
 週2〜3回自ら作成して、時には姫巫女様とみぽりんを菓子作りに誘って、というふうになんとか落ち着かせた。
 こちらが菓子作りの主導権を握ることによって、二人を満足させながら、摂政としての仕事と我が身の安全を守る。
(もう食中毒寸前の目はごめんだからな)
 思い出すと泣けてくる。
 摂政とは、どこのくにでもこんな感じなんだろうか…(いや違うはずだ!)
 今日は、明日製作予定のくっきーを試作していた。
 生地は摂政が作ってしまい、姫巫女とみぽりんには型抜きを楽しんでもらう。
 焼けたらその日の午後のおやつでお出しする予定である。
(そろそろ焼けたかな)
 窯を開けると、香ばしく、甘い香りがたちこめる。
(どれ、味見)
 適当にひとつ取って口に入れると、ばたーの豊かな風味が口に広がる。
「うし、完成」
 視線を感じて振り返ると、香りにつられた信乃がそこに立っていた。
「………」
「………」
 続く沈黙。
 そのとき、きゅ〜と信乃のお腹が鳴った。
「あ…」
「………、くっきー、食べますか」
「………。はい」

「なるほど、迷子ですか。たぶんさちひこさんは入国管理室にいると思いますよ。案内しましょう」
「はい。よろしくおねがいします」
 ごちそうになった後、包んでもらったくっきーを手に、信乃はその男についていった。
「ここですよ。じゃあ、私はここで」
「ありがとうございました」
 ぺこりとおじぎをして別れた。

「いたいた〜!どこにいってたんだ」
 さちひことはすぐ会えた。
 ずいぶんあちこち探してくれたようだ。
 息が切れている。
「ごめんなさい。気づいたらさちひこさん、いなくて」
「まあ、見つかってよかった。国境から書類届いてたんで、入国手続きしておいた」
「ありがとうございます!」
「謁見の申し込みもしたから、姫巫女さまにも会ってもらう」
「姫巫女さま?」
「神聖巫連盟の藩王さまだよ。おっと、もうじき時間だ。行こう」
 謁見室手前で、さちひことは別れた。

 謁見室。
 取次ぎの者が、信乃を中まで案内する。
 広い室内。
 一段高いところにゆったりすわっていらっしゃる女性。
 そして、脇でひかえるのは…。
(あ、さっきの、くっきーの人だ)
 くっきーの人は信乃を見てにこっと微笑む。
「姫巫女さま、本日の国民希望のものでございます」
 くっきーの人が、姫巫女に説明する。
 姫巫女がうなずく。
「私はこの国の摂政、七比良 鸚哥です。そしてこちらが姫巫女であらせられる」
「藻女(みずくめ)と申します。これからどうぞよろしく」
 姫巫女の柔らかくも凛とした笑み。
 信乃は胸が熱くなった。
「有馬 信乃です。よろしくおねがいします」
 ふかぶかと頭を下げる信乃に、姫巫女が言った。
「有馬 信乃さん。あなたの入国を認めます」

 こうして信乃は神聖巫連盟に迎えられたのだった。
     
                おしまい

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:1<ss>くんくんなんだかいいニオイ1  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/2(月) 2:49  -------------------------------------------------------------------------
   <SS>

くんくんなんだかいいニオイ


 国境に変わった出で立ちの男が一人。
烏帽子に狩衣、腰には大太刀。あまり神聖巫連盟では見かけない装いだ。
「あんた名前はなんていうの?」
国境警備の男がダルそうに尋ねる。
「有馬 信乃(ありま しの)と申します」
希望に満ち溢れた瞳。警備員のダルそうな様子は信乃の目に入らない。
「そうかい。じゃあ、このまま政庁に向かってくれ」
国民になるための最終手続きは、政庁でするという。
お礼を言って、信乃は国内に入った。

国境を抜けたとき、どこからか甘い匂いがした。
くんくん、くんくん
なんとなく、匂いを追い始める。
くんくん、くんくん
どれほど歩いただろう。
信乃は大きな木造の建物の前に立っていた。


そばにあった茶房<巫>で信乃はお茶と団子を頂いた。
(さっきの建物はなんだったんだろう)
気になったが、どこか厳粛な場であるように思え、中には立ち入らなかった。
(でも、いい匂いだったなあ〜。けーき?いや、もっと香ばしかったなあ~)
思い出してじゅるりとなる。
ともあれ、お団子食べたら政庁に向かおう。
でも、政庁ってどこにあるんだろう。
そう思ったときだった。
「雹さん、まじで?」
「うん。仕事が増えた。新しいアイドレスを増やすことになったらしい」
説明している雹(ひょう)と呼ばれた男も、拳を握り締め、ぷるぷる震えている。
「作業が、作業がー」「うおー」
2人で言いながら叫んでいる。
迫力におされて、視線がはずせないまま固まる信乃。
なんかよくわからないが、大変らしい。
「うん?見かけない顔だな。どこからきたんだ」
信乃の視線に気づいてさちひこが話しかける。親しみやすい雰囲気だ。
「ああっと……、ゃんにゃん共和国、から来ました」
「遠くからだな。観光か?」
「いえ、国民希望なのですが、政庁がわからなくて」
「じゃあ、俺案内するよ。そっちの仕事もやってんだ」
信乃はありがたく、お願いすることにした。
「じゃあ、雹さん、俺政庁にいってくる」
「おう、気をつけて」
雹は手を振って送り出してくれた。


さちひこに連れられて行ったのは、先ほどの大きな木造の建物。
「ここが政庁だ。こっちから入るんだぞ」
「はい」
長い木造の廊下を歩く。右へ左へ、あちこち曲がる。
きょろきょろしながら後を追う信乃。
「そういえば、名乗ってなかったな。俺はさちひこっていうんだ。さっきいたもう一人は雹さん。俺たち技族をやっている」
「技族の方だったんですか」
「よかったら、信乃さんも技族になるといいぞ」
ずいぶん歩いたところで、
「もうじき着くからな、……ん!?」
さちひこが振り返ったとき、信乃の姿はなかった。

「あれ?さちひこさん?」
気が付くと信乃はひとりだった。
(どうしよう。このまま動かないほうがいいのかなあ。それとも…)
そんなときだった。
また、どこからか、甘い香りがただよってきた。
くんくん、くんくん、
気づくと信乃はにおいを追っていた。


政庁の台盤所。
今日も摂政、七比良 鸚哥(ななひら いんこ)がこもっていた。
しふぉんけーき事件から一月と少し。
週2〜3回自ら作成して、時には姫巫女様とみぽりんを菓子作りに誘って、というふうになんとか落ち着かせた。
こちらが菓子作りの主導権を握ることによって、二人を満足させながら、摂政としての仕事と我が身の安全を守る。
(もう食中毒寸前の目はごめんだからな)
思い出すと泣けてくる。
摂政とは、どこのくにでもこんな感じなんだろうか…(いや違うはずだ!)
今日は、明日製作予定のくっきーを試作していた。
生地は摂政が作ってしまい、姫巫女とみぽりんには型抜きを楽しんでもらう。
焼けたらその日の午後のおやつでお出しする予定である。
(そろそろ焼けたかな)
窯を開けると、香ばしく、甘い香りがたちこめる。
(どれ、味見)
適当にひとつ取って口に入れると、ばたーの豊かな風味が口に広がる。
「うし、完成」
視線を感じて振り返ると、香りにつられた信乃がそこに立っていた。
「………」
「………」
続く沈黙。
そのとき、きゅ〜と信乃のお腹が鳴った。
「あ…」
「………、くっきー、食べますか」
「………。はい」

「なるほど、迷子ですか。たぶんさちひこさんは入国管理室にいると思いますよ。案内しましょう」
「はい。よろしくおねがいします」
ごちそうになった後、包んでもらったくっきーを手に、信乃はその男についていった。
「ここですよ。じゃあ、私はここで」
「ありがとうございました」
ぺこりとおじぎをして別れた。

「いたいた〜!どこにいってたんだ」
さちひことはすぐ会えた。
ずいぶんあちこち探してくれたようだ。
息が切れている。
「ごめんなさい。気づいたらさちひこさん、いなくて」
「まあ、見つかってよかった。国境から書類届いてたんで、入国手続きしておいた」
「ありがとうございます!」
「謁見の申し込みもしたから、姫巫女さまにも会ってもらう」
「姫巫女さま?」
「神聖巫連盟の藩王さまだよ。おっと、もうじき時間だ。行こう」
謁見室手前で、さちひことは別れた。

謁見室。
取次ぎの者が、信乃を中まで案内する。
広い室内。
一段高いところにゆったりすわっていらっしゃる女性。
そして、脇でひかえるのは…。
(あ、さっきの、くっきーの人だ)
くっきーの人は信乃を見てにこっと微笑む。
「姫巫女さま、本日の国民希望のものでございます」
くっきーの人が、姫巫女に説明する。
姫巫女がうなずく。
「私はこの国の摂政、七比良 鸚哥です。そしてこちらが姫巫女であらせられる」
「藻女(みずくめ)と申します。これからどうぞよろしく」
姫巫女の柔らかくも凛とした笑み。
信乃は胸が熱くなった。
「有馬 信乃です。よろしくおねがいします」
ふかぶかと頭を下げる信乃に、姫巫女が言った。
「有馬 信乃さん。あなたの入国を認めます」

こうして信乃は神聖巫連盟に迎えられたのだった。
     
                おしまい

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:1<ss>くんくんなんだかいいニオイ  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/2(月) 3:01  -------------------------------------------------------------------------
   <SS>

くんくんなんだかいいニオイ


 国境に変わった出で立ちの男が一人。
烏帽子に狩衣、腰には大太刀。あまり神聖巫連盟では見かけない装いだ。
「あんた名前はなんていうの?」
国境警備の男がダルそうに尋ねる。
「有馬 信乃(ありま しの)と申します」
希望に満ち溢れた瞳。警備員のダルそうな様子は信乃の目に入らない。
「そうかい。じゃあ、このまま政庁に向かってくれ」
国民になるための最終手続きは、政庁でするという。
お礼を言って、信乃は国内に入った。

国境を抜けたとき、どこからか甘い匂いがした。
くんくん、くんくん
なんとなく、匂いを追い始める。
くんくん、くんくん
どれほど歩いただろう。
信乃は大きな木造の建物の前に立っていた。


そばにあった茶房<巫>で信乃はお茶と団子を頂いた。
(さっきの建物はなんだったんだろう)
気になったが、どこか厳粛な場であるように思え、中には立ち入らなかった。
(でも、いい匂いだったなあ〜。けーき?いや、もっと香ばしかったなあ~)
思い出してじゅるりとなる。
ともあれ、お団子食べたら政庁に向かおう。
でも、政庁ってどこにあるんだろう。
そう思ったときだった。
「雹さん、まじで?」
「うん。仕事が増えた。新しいアイドレスを増やすことになったらしい」
説明している雹(ひょう)と呼ばれた男も、拳を握り締め、ぷるぷる震えている。
「作業が、作業がー」「うおー」
2人で言いながら叫んでいる。
迫力におされて、視線がはずせないまま固まる信乃。
なんかよくわからないが、大変らしい。
「うん?見かけない顔だな。どこからきたんだ」
信乃の視線に気づいてさちひこが話しかける。親しみやすい雰囲気だ。
「ああっと……、ゃんにゃん共和国、から来ました」
「遠くからだな。観光か?」
「いえ、国民希望なのですが、政庁がわからなくて」
「じゃあ、俺案内するよ。そっちの仕事もやってんだ」
信乃はありがたく、お願いすることにした。
「じゃあ、雹さん、俺政庁にいってくる」
「おう、気をつけて」
雹は手を振って送り出してくれた。


さちひこに連れられて行ったのは、先ほどの大きな木造の建物。
「ここが政庁だ。こっちから入るんだぞ」
「はい」
長い木造の廊下を歩く。右へ左へ、あちこち曲がる。
きょろきょろしながら後を追う信乃。
「そういえば、名乗ってなかったな。俺はさちひこっていうんだ。さっきいたもう一人は雹さん。俺たち技族をやっている」
「技族の方だったんですか」
「よかったら、信乃さんも技族になるといいぞ」
ずいぶん歩いたところで、
「もうじき着くからな、……ん!?」
さちひこが振り返ったとき、信乃の姿はなかった。

「あれ?さちひこさん?」
気が付くと信乃はひとりだった。
(どうしよう。このまま動かないほうがいいのかなあ。それとも…)
そんなときだった。
また、どこからか、甘い香りがただよってきた。
くんくん、くんくん、
気づくと信乃はにおいを追っていた。


政庁の台盤所。
今日も摂政、七比良 鸚哥(ななひら いんこ)がこもっていた。
しふぉんけーき事件から一月と少し。
週2〜3回自ら作成して、時には姫巫女様とみぽりんを菓子作りに誘って、というふうになんとか落ち着かせた。
こちらが菓子作りの主導権を握ることによって、二人を満足させながら、摂政としての仕事と我が身の安全を守る。
(もう食中毒寸前の目はごめんだからな)
思い出すと泣けてくる。
摂政とは、どこのくにでもこんな感じなんだろうか…(いや違うはずだ!)
今日は、明日製作予定のくっきーを試作していた。
生地は摂政が作ってしまい、姫巫女とみぽりんには型抜きを楽しんでもらう。
焼けたらその日の午後のおやつでお出しする予定である。
(そろそろ焼けたかな)
窯を開けると、香ばしく、甘い香りがたちこめる。
(どれ、味見)
適当にひとつ取って口に入れると、ばたーの豊かな風味が口に広がる。
「うし、完成」
視線を感じて振り返ると、香りにつられた信乃がそこに立っていた。
「………」
「………」
続く沈黙。
そのとき、きゅ〜と信乃のお腹が鳴った。
「あ…」
「………、くっきー、食べますか」
「………。はい」

「なるほど、迷子ですか。たぶんさちひこさんは入国管理室にいると思いますよ。案内しましょう」
「はい。よろしくおねがいします」
ごちそうになった後、包んでもらったくっきーを手に、信乃はその男についていった。
「ここですよ。じゃあ、私はここで」
「ありがとうございました」
ぺこりとおじぎをして別れた。

「いたいた〜!どこにいってたんだ」
さちひことはすぐ会えた。
ずいぶんあちこち探してくれたようだ。
息が切れている。
「ごめんなさい。気づいたらさちひこさん、いなくて」
「まあ、見つかってよかった。国境から書類届いてたんで、入国手続きしておいた」
「ありがとうございます!」
「謁見の申し込みもしたから、姫巫女さまにも会ってもらう」
「姫巫女さま?」
「神聖巫連盟の藩王さまだよ。おっと、もうじき時間だ。行こう」
謁見室手前で、さちひことは別れた。

謁見室。
取次ぎの者が、信乃を中まで案内する。
広い室内。
一段高いところにゆったりすわっていらっしゃる女性。
そして、脇でひかえるのは…。
(あ、さっきの、くっきーの人だ)
くっきーの人は信乃を見てにこっと微笑む。
「姫巫女さま、本日の国民希望のものでございます」
くっきーの人が、姫巫女に説明する。
姫巫女がうなずく。
「私はこの国の摂政、七比良 鸚哥です。そしてこちらが姫巫女であらせられる」
「藻女(みずくめ)と申します。これからどうぞよろしく」
姫巫女の柔らかくも凛とした笑み。
信乃は胸が熱くなった。
「有馬 信乃です。よろしくおねがいします」
ふかぶかと頭を下げる信乃に、姫巫女が言った。
「有馬 信乃さん。あなたの入国を認めます」

こうして信乃は神聖巫連盟に迎えられたのだった。
     
                おしまい

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:直し3<ss>くんくんなんだかいいニオイ  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/2(月) 3:10  -------------------------------------------------------------------------
   <SS>

くんくんなんだかいいニオイ


 国境に変わった出で立ちの男が一人。
烏帽子に狩衣、腰には大太刀。あまり神聖巫連盟では見かけない装いだ。
「あんた名前はなんていうの?」
国境警備の男がダルそうに尋ねる。
「有馬 信乃(ありま しの)と申します」
希望に満ち溢れた瞳。警備員のダルそうな様子は信乃の目に入らない。
「そうかい。じゃあ、このまま政庁に向かってくれ」
国民になるための最終手続きは、政庁でするという。
お礼を言って、信乃は国内に入った。

国境を抜けたとき、どこからか甘い匂いがした。
くんくん、くんくん
なんとなく、匂いを追い始める。
くんくん、くんくん
どれほど歩いただろう。
信乃は大きな木造の建物の前に立っていた。


そばにあった茶房<巫>で信乃はお茶と団子を頂いた。
(さっきの建物はなんだったんだろう)
気になったが、どこか厳粛な場であるように思え、中には立ち入らなかった。
(でも、いい匂いだったなあ〜。けーき?いや、もっと香ばしかったなあ~)
思い出してじゅるりとなる。
ともあれ、お団子食べたら政庁に向かおう。
でも、政庁ってどこにあるんだろう。
そう思ったときだった。
「雹さん、まじで?」
「うん。仕事が増えた。新しいアイドレスを増やすことになったらしい」
説明している雹(ひょう)と呼ばれた男も、拳を握り締め、ぷるぷる震えている。
「作業が、作業がー」「うおー」
2人で言いながら叫んでいる。
迫力におされて、視線がはずせないまま固まる信乃。
なんかよくわからないが、大変らしい。
「うん?見かけない顔だな。どこからきたんだ」
信乃の視線に気づいてさちひこが話しかける。親しみやすい雰囲気だ。
「あぁっと……、にゃんにゃん共和国、から来ました」
「遠くからだな。観光か?」
「いえ、国民希望なのですが、政庁がわからなくて」
「じゃあ、俺案内するよ。そっちの仕事もやってんだ」
信乃はありがたく、お願いすることにした。
「じゃあ、雹さん、俺政庁にいってくる」
「おう、気をつけて」
雹は手を振って送り出してくれた。


さちひこに連れられて行ったのは、先ほどの大きな木造の建物。
「ここが政庁だ。こっちから入るんだぞ」
「はい」
長い木造の廊下を歩く。右へ左へ、あちこち曲がる。
きょろきょろしながら後を追う信乃。
「そういえば、名乗ってなかったな。俺はさちひこっていうんだ。さっきいたもう一人は雹さん。俺たち技族をやっている」
「技族の方だったんですか」
「よかったら、信乃さんも技族になるといいぞ」
ずいぶん歩いたところで、
「もうじき着くからな、……ん!?」
さちひこが振り返ったとき、信乃の姿はなかった。

「あれ?さちひこさん?」
気が付くと信乃はひとりだった。
(どうしよう。このまま動かないほうがいいのかなあ。それとも…)
そんなときだった。
また、どこからか、甘い香りがただよってきた。
くんくん、くんくん、
気づくと信乃はにおいを追っていた。


政庁の台盤所。
今日も摂政、七比良 鸚哥(ななひら いんこ)がこもっていた。
しふぉんけーき事件から一月と少し。
週2〜3回自ら作成して、時には姫巫女様とみぽりんを菓子作りに誘って、 というふうになんとか落ち着かせた。
こちらが菓子作りの主導権を握ることによって、二人を満足させながら、摂政としての仕事と我が身の安全を守る。
(もう食中毒寸前の目はごめんだからな)
思い出すと泣けてくる。
摂政とは、どこのくにでもこんな感じなんだろうか…(いや違うはずだ!)
今日は、明日製作予定のくっきーを試作していた。
生地は摂政が作ってしまい、姫巫女とみぽりんには型抜きを楽しんでもらう。
焼けたらその日の午後のおやつでお出しする予定である。
(そろそろ焼けたかな)
窯を開けると、香ばしく、甘い香りがたちこめる。
(どれ、味見)
適当にひとつ取って口に入れると、ばたーの豊かな風味が口に広がる。
「うし、完成」
視線を感じて振り返ると、香りにつられた信乃がそこに立っていた。
「………」
「………」
続く沈黙。
そのとき、きゅ〜と信乃のお腹が鳴った。
「あ…」
「………、くっきー、食べますか」
「………。はい」

「なるほど、迷子ですか。たぶんさちひこさんは入国管理室にいると思いますよ。案内しましょう」
「はい。よろしくおねがいします」
ごちそうになった後、包んでもらったくっきーを手に、信乃はその男についていった。
「ここですよ。じゃあ、私はここで」
「ありがとうございました」
ぺこりとおじぎをして別れた。

「いたいた〜!どこにいってたんだ」
さちひことはすぐ会えた。
ずいぶんあちこち探してくれたようだ。
息が切れている。
「ごめんなさい。気づいたらさちひこさん、いなくて」
「まあ、見つかってよかった。国境から書類届いてたんで、入国手続きしておいた」
「ありがとうございます!」
「謁見の申し込みもしたから、姫巫女さまにも会ってもらう」
「姫巫女さま?」
「神聖巫連盟の藩王さまだよ。おっと、もうじき時間だ。行こう」
謁見室手前で、さちひことは別れた。

謁見室。
取次ぎの者が、信乃を中まで案内する。
広い室内。
一段高いところにゆったりすわっていらっしゃる女性。
そして、脇でひかえるのは…。
(あ、さっきの、くっきーの人だ)
くっきーの人は信乃を見てにこっと微笑む。
「姫巫女さま、本日の国民希望のものでございます」
くっきーの人が、姫巫女に説明する。
姫巫女がうなずく。
「私はこの国の摂政、七比良 鸚哥です。そしてこちらが姫巫女であらせられる」
「藻女(みずくめ)と申します。これからどうぞよろしく」
姫巫女の柔らかくも凛とした笑み。
信乃は胸が熱くなった。
「有馬 信乃です。よろしくおねがいします」
ふかぶかと頭を下げる信乃に、姫巫女が言った。
「有馬 信乃さん。あなたの入国を認めます」

こうして信乃は神聖巫連盟に迎えられたのだった。
     
                おしまい

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:題名変更「くんくんくん」(<ss>くんくんなんだかいいニオイ)  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/2(月) 23:55  -------------------------------------------------------------------------
   <SS>

くんくんくん


 国境に変わった出で立ちの男が一人。
烏帽子に狩衣、腰には大太刀。あまり神聖巫連盟では見かけない装いだ。
「あんた名前はなんていうの?」
国境警備の男がダルそうに尋ねる。
「有馬 信乃(ありま しの)と申します」
希望に満ち溢れた瞳。警備員のダルそうな様子は信乃の目に入らない。
「そうかい。じゃあ、このまま政庁に向かってくれ」
国民になるための最終手続きは、政庁でするという。
お礼を言って、信乃は国内に入った。

国境を抜けたとき、どこからか甘い匂いがした。
くんくん、くんくん
なんとなく、匂いを追い始める。
くんくん、くんくん
どれほど歩いただろう。
信乃は大きな木造の建物の前に立っていた。


そばにあった茶房<巫>で信乃はお茶と団子を頂いた。
(さっきの建物はなんだったんだろう)
気になったが、どこか厳粛な場であるように思え、中には立ち入らなかった。
(でも、いい匂いだったなあ〜。けーき?いや、もっと香ばしかったなあ~)
思い出してじゅるりとなる。
ともあれ、お団子食べたら政庁に向かおう。
でも、政庁ってどこにあるんだろう。
そう思ったときだった。
「雹さん、まじで?」
「うん。仕事が増えた。新しいアイドレスを増やすことになったらしい」
説明している雹(ひょう)と呼ばれた男も、拳を握り締め、ぷるぷる震えている。
「作業が、作業がー」「うおー」
2人で言いながら叫んでいる。
迫力におされて、視線がはずせないまま固まる信乃。
なんかよくわからないが、大変らしい。
「うん?見かけない顔だな。どこからきたんだ」
信乃の視線に気づいてさちひこが話しかける。親しみやすい雰囲気だ。
「あぁっと……、にゃんにゃん共和国、から来ました」
「遠くからだな。観光か?」
「いえ、国民希望なのですが、政庁がわからなくて」
「じゃあ、俺案内するよ。そっちの仕事もやってんだ」
信乃はありがたく、お願いすることにした。
「じゃあ、雹さん、俺政庁にいってくる」
「おう、気をつけて」
雹は手を振って送り出してくれた。


さちひこに連れられて行ったのは、先ほどの大きな木造の建物。
「ここが政庁だ。こっちから入るんだぞ」
「はい」
長い木造の廊下を歩く。右へ左へ、あちこち曲がる。
きょろきょろしながら後を追う信乃。
「そういえば、名乗ってなかったな。俺はさちひこっていうんだ。さっきいたもう一人は雹さん。俺たち技族をやっている」
「技族の方だったんですか」
「よかったら、信乃さんも技族になるといいぞ」
ずいぶん歩いたところで、
「もうじき着くからな、……ん!?」
さちひこが振り返ったとき、信乃の姿はなかった。

「あれ?さちひこさん?」
気が付くと信乃はひとりだった。
(どうしよう。このまま動かないほうがいいのかなあ。それとも…)
そんなときだった。
また、どこからか、甘い香りがただよってきた。
くんくん、くんくん、
気づくと信乃はにおいを追っていた。


政庁の台盤所。
今日も摂政、七比良 鸚哥(ななひら いんこ)がこもっていた。
しふぉんけーき事件から一月と少し。
週2〜3回自ら作成して、時には姫巫女様とみぽりんを菓子作りに誘って、 というふうになんとか落ち着かせた。
こちらが菓子作りの主導権を握ることによって、二人を満足させながら、摂政としての仕事と我が身の安全を守る。
(もう食中毒寸前の目はごめんだからな)
思い出すと泣けてくる。
摂政とは、どこのくにでもこんな感じなんだろうか…(いや違うはずだ!)
今日は、明日製作予定のくっきーを試作していた。
生地は摂政が作ってしまい、姫巫女とみぽりんには型抜きを楽しんでもらう。
焼けたらその日の午後のおやつでお出しする予定である。
(そろそろ焼けたかな)
窯を開けると、香ばしく、甘い香りがたちこめる。
(どれ、味見)
適当にひとつ取って口に入れると、ばたーの豊かな風味が口に広がる。
「うし、完成」
視線を感じて振り返ると、香りにつられた信乃がそこに立っていた。
「………」
「………」
続く沈黙。
そのとき、きゅ〜と信乃のお腹が鳴った。
「あ…」
「………、くっきー、食べますか」
「………。はい」

「なるほど、迷子ですか。たぶんさちひこさんは入国管理室にいると思いますよ。案内しましょう」
「はい。よろしくおねがいします」
ごちそうになった後、包んでもらったくっきーを手に、信乃はその男についていった。
「ここですよ。じゃあ、私はここで」
「ありがとうございました」
ぺこりとおじぎをして別れた。

「いたいた〜!どこにいってたんだ」
さちひことはすぐ会えた。
ずいぶんあちこち探してくれたようだ。
息が切れている。
「ごめんなさい。気づいたらさちひこさん、いなくて」
「まあ、見つかってよかった。国境から書類届いてたんで、入国手続きしておいた」
「ありがとうございます!」
「謁見の申し込みもしたから、姫巫女さまにも会ってもらう」
「姫巫女さま?」
「神聖巫連盟の藩王さまだよ。おっと、もうじき時間だ。行こう」
謁見室手前で、さちひことは別れた。

謁見室。
取次ぎの者が、信乃を中まで案内する。
広い室内。
一段高いところにゆったりすわっていらっしゃる女性。
そして、脇でひかえるのは…。
(あ、さっきの、くっきーの人だ)
くっきーの人は信乃を見てにこっと微笑む。
「姫巫女さま、本日の国民希望のものでございます」
くっきーの人が、姫巫女に説明する。
姫巫女がうなずく。
「私はこの国の摂政、七比良 鸚哥です。そしてこちらが姫巫女であらせられる」
「藻女(みずくめ)と申します。これからどうぞよろしく」
姫巫女の柔らかくも凛とした笑み。
信乃は胸が熱くなった。
「有馬 信乃です。よろしくおねがいします」
ふかぶかと頭を下げる信乃に、姫巫女が言った。
「有馬 信乃さん。あなたの入国を認めます」

こうして信乃は神聖巫連盟に迎えられたのだった。
     
                おしまい

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:みぽりん投稿用  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/7(土) 0:28  -------------------------------------------------------------------------
   ネタ〜(笑)横向き失礼。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : みみかき  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/7(土) 23:52  -------------------------------------------------------------------------
   みみかき〜(笑)

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:みぽりん投稿用  ■名前 : 雹  ■日付 : 07/4/7(土) 23:57  -------------------------------------------------------------------------
   シフォンケーキを求めて旅立とうとする人々の絵

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@21.112.99.219.ap.yournet.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : <ss>ひととき  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/9(月) 21:01  -------------------------------------------------------------------------
   摂政さまをオチにしない話〜。
(オチがなくて苦しかった…)


<SS>ひととき


「新しい本だ〜!!」
袋から出した本をぎゅっと抱きしめ、それだけでは足らず、きゃ〜!と声をあげながら部屋中をごろごろ転がる。
 みぽりんは本が大好きだった。
しかも、今日手に入れたのは、ずっと読みたかった物語!
嬉しくて嬉しくてたまらない!
ひとしきり転がりまわった後、行儀悪く寝そべりながら、初めは鼻歌まじりで、そのうち無言になって、読み始めた。


 政庁。
まだ昼には幾分か早い頃、みぽりんは廊下を歩いていた。
(お日様がまぶしい〜。溶けそう…)
面白いお話は、続きが気になるもの。
結局夕べはほとんど寝ずに本を読んでいた。
そのせいで、起きられず、朝ごはんも食べ損ねた。
おかげでお腹はぐ〜となるし、なんだか頭もくらくらする。
「みぽりん、顔色悪くないか?」
ん?と思って顔をあげると、そこにいたのは摂政、七比良 鸚哥(ななひら いんこ)。
「摂政さまだあ〜。おでかけですかあ?」
ふらふらしながら答えるみぽりん。
「いや。姫巫女さまに書類を届けに行った帰り」
「そうですかあ〜」
えへへと笑うみぽりん。
「大丈夫?」
「大丈夫ですよ〜。元気ですう〜…」
いつもの調子で話そうとするが、なんだか力が入らない。
やっぱり、こんな状態で訓練しに行ったのがまずかったか…。
(なんか、気持ち悪い〜)
体がぐらりとしたかと思ったら、だんだん視界が暗くなる。
(あれえ?)
「みぽりん!!」
遠くのほうで、摂政さまの声がする。
体に力が入らず、そのまま座り込むようにして倒れる。
支えられたような気がしたけど、よくわからなかった。


(……ふにゃ〜?)
時折、ぱさぱさという音がする。
なんか、聞いたことのある音。
そっと、そちらに目をやると、薄暗い部屋の隅の文机で摂政さまが、なにやら真面目そうな顔をして紙とにらめっこしていた。
(ああ、紙の擦れる音かあ)
ぼんやりと考える。
(ところで、ここはどこだろう)
みぽりんは、ふかふかの布団に寝かされていた。
自分の部屋、ではなさそうだ。
状況がよくわからず、ぽーっと考えていると、摂政さまが気がついて、ちいさなため息をこぼした。
「気分は?どこか、痛いところはない?」
「ないです〜」
答える声が小さくなってしまった。
あれれれ〜?と首をかしげる。
「廊下で倒れたの、覚えてる?」
うーんと考えて、そういえば、さっきは廊下にいたんだと思い出す。
そこから記憶がはっきりしてきた。
「思い出しました〜。なんか気持ち悪くて、くらっとしたです」
「さっきまで薬師殿がいたんですが、過労だそうです」
薬師がどうしてもはずせない用があるとかで、摂政さまが部屋番を代わったという。
みぽりん、涙目。
「摂政さま、お仕事は?」
「持ってきたから大丈夫」
さっきの紙は書類だったのかと思い至る。
「摂政さまあ、ごめんなさい」
「ん?」
「あのね、本読んでて、寝るのが遅かったですよ。だからだと思います」
「そうですか」
笑いを含んだため息。
「知らせてあるから、今日はゆっくり休むといいです。もうひとねむりしたら?」
「……、怒らないですかあ?」
布団に半分顔をうづめ、おそるおそるたずねる。
「心配したのはわかってる?」
こくりとうなづく。
「だったらいいです」
穏やかな声。だから素直に反省できた。もう少し体に気を使おう。心配してくれる人がいるのだから。
心配されるのって、なんだかくすぐったくて、幸せになる。
なんだか安心して、目がとろんとしてきたので、お言葉に甘えることにした。
「じゃあ、おやすみなさい」
「はい。おやすみ」

そして、みぽりんはまぶたを閉じた。
幸せだなあ〜、と思いながら。


                            おしまい

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : お返し  ■名前 : 信乃  ■日付 : 07/4/12(木) 1:47  -------------------------------------------------------------------------
   摂政という仕事は忙しい。
今日も朝早くから七比良鸚哥は執務室で書類と睨めっこすること幾時間、それでも今日の仕事の半分にさえも到達していなかった。
「摂政さまー、良いもの持って来ましたあ」
執務室の扉が勢いよく開かれると、そこにはみぽりんの姿があった。
「みぽりん、もう少し静かに……、って、何を持ってきてるんですか!?」
みぽりんの左脇には大きな鳥が挟まれていた。力一杯に腕を締めているのだろう、鳥は苦しそうにばさばさと翼を動かしているが、そう簡単には抜け出せそうもない。
「これですか? この間介抱してもらったお礼にこの鳥さんを摂政さまにプレゼントしようと思って持ってきました〜」
鸚哥はその鳥をよく観察してみる。
身体中が白い羽根で覆われ、くちばしと羽根の先が黒い鳥。
遠くから見れば、否、鳥をよく知らない者が見れば、誰もがその鳥を鶴と思うだろう。
だが、この鳥は鶴ではない。
「みぽりん……、この鳥、どうしたんですか?」
「摂政さまは鳥がお好きなので、この間のお礼にと思って捕まえてきたですよ〜。気に入ってもらえましたか?」
気に入るかいらないか、という点において言えば、この鳥は非常に気に入った。男子寮で飼っている無数の鳥の中にいない種だからである。だが、この鳥は……。
「ところで摂政さま、この鳥は何と言う鳥なんですか?」
子供をあやすように鳥の頭を撫でながらみぽりんが尋ねる。
「ああ、この鳥はね、コウノトリと言って……」
「コウノトリさんですか!? みぽりんも知ってますよ〜」
鸚哥が詳しく説明しようとした矢先、みぽりんが歓喜とも驚きともつかぬ大声を上げた。
「きゃー、これがコウノトリさんですか! みぽりん初めて実物を見たですよお。すごいです、すごいです! コウノトリさんって赤ちゃんは込んできてくれる鳥さんですよね。これで国民が増えるですね〜。さっそく姫さまにご報告に行かなくっちゃ〜」
みぽりんはコウノトリを鸚哥の前、書類の束の上に置いて、姫さま〜、と叫びながら執務室から出ていった。
まるで嵐のようだ……。
一人と一匹、執務室に残された鸚哥はコウノトリに目を向ける。
「どうしたもんかなぁ……」
ぐったりとしたコウノトリは、もうお前達の好きにしてくれ、と言っているかのように思えた。

<了>

<Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/418 (KHTML, like G...@kkgw119n021.catv.ppp.infoweb.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : <SS>温☆泉 ばにっく  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/11(水) 17:49  -------------------------------------------------------------------------
   <SS>温☆泉 ばにっく

注意:このお話はネタです。実際の国民とは、きっと関係ありません。


 今日は政庁のみんなで温泉!
みんなでわくわくしながら国のはずれにある温泉にやってきた。
 
――女湯
「きゃあ〜!温泉です〜!」
楽しいこと大好きなみぽりんは、大喜びで湯に駆け寄る。
「あまりあわてると、転ぶよ♪」
言いながら、姫巫女、藻女(みずくめ)さまもなんだか浮かれ気分だ。
身体を洗ってから、湯につかる。
滑らかな湯が、肌を優しくなでる。
「気持ちいいですね〜、姫様」
「ふぅ。いい気持ちだねぇ」
顔を見合わせて、にっこりと笑う二人。
「あがったら、何か冷たいものでも食べようか♪」
「食べたいです〜!」
姫巫女のことばに答えるみぽりん。
「そういえば、姫様、温泉でやっておかなければならないことがあるですよ〜!!」
「何をするの?」
がばっと立ち上がり、元気良く、
「のぞきです!」
「………、そう?」
姫巫女さまは目が点だった。


――男湯
木製の壁を隔てた向こう側の女湯から、姫巫女とみぽりんの楽しそうな声が聞こえる。
「なんか、いいですねー。のんびりして」
雹(ひょう)が身体をごしごし洗いながら嬉しそうに言った。
「あちらは、ずいぶんにぎやかですねぇ」
頭に手ぬぐいをのせ、湯に浸かりながら柊 久音(ひいらぎ くのん)。
「姫巫女さまも、久しぶりのお休みですからね。ゆっくりされるといいです」
自分も骨休めといわんばかりに、摂政、七比良 鸚哥(ななひら いんこ)が伸びをする。
「まあ、たまの休みだ。のんびりしようぜ!」
人好きのする笑顔でさちひこが言った。
「ところで、あなたはあちらにまざらなくてよかったんですか?」
「摂政さま!僕、男!」
姫巫女やみぽりんと一緒になって、摂政からお菓子をいただくのをからかわれた信乃の抵抗を、みんな笑いながら見ている。
そのときだった。
「そういえば、姫様、温泉でやっておかなければならないことがあるですよ〜!」
女湯のみぽりんの元気な声に男湯一同は、ん?と一瞬聞き耳をたてて
「のぞきです!」
の言葉にぶったおれた。

「うはぁ!」
すぐ前にあった岩にぶつけた頭をさすりながら、真っ赤になって雹がうなる。
「女湯から覗かれるなんて、きいたことないですよ」
頭痛そうな、信乃。
「まあ、みぽりんのことですから、泊りがけ旅行の枕投げ、雪が降ったときの雪だるまと同じ感覚なのでしょうけどね」
苦笑いしながら久音が分析する。
「………。よし、こっちものぞくか」
「さちひこさん!、それ、ヤバイから!」
その会話に面白好きの心に火がついた。
「よし!覗きましょう!」
え?!という視線が摂政に集まる。
「摂政さま、マズイですって」
「大丈夫です。さあ信乃さん、いきましょう」
嬉々として、信乃の腕をつかんで引っ張る摂政。
「おい、ここ、隙間があいてるぜ」
女湯とのしきりとなっている木の壁を調べていたさちひこが、手招きする。
「何?!いきますよ!信乃さん」
「僕をまきこまないでください〜!!」
ずるずると信乃を引きずりながら、摂政はさちひこのそばにきた。
穴をのぞくさちひこ。
「みえますか?」
「んー。なんか暗いぞ、うわあ!!」
壁の向こうと目が合って、さちひこはひっくり返った。


――女湯
「ひゃあ!!姫様!目があったですよ!」
びっくりして、大騒ぎするみぽりん。
自分はばすたおるを巻いて、完全防備である。
やめておいたら?といいながら本気で止める様子はない姫巫女。
湯を手のひらですくって、感触を楽しんでいる。
「あ、もしかして潜ったら見えるですかねえ〜♪」
男湯との接点を見つけて、ぶくんと頭を沈めてみる。
しかし熱い湯で目をあけていられず、ざばんと顔をあげ目をこすりはじめる。
どうやら湯がしみたようだ。
「お湯に頭を沈めたらだめだよ」
「はあーい。」
姫巫女の言葉に少し反省したかと思うと、岩を積み上げた壁面に目がいった。
「もしかして、これを登れば見えるですかねえ〜」
みぽりんは岩を登り始めた。


――男湯
「びっくりしたぜ…。考えることは同じだということか」
深刻な顔でいう、さちひこ。
「ふむ。では、次の作戦を考えなければいけませんね」
顎に手をやりながら摂政がつぶやく。
「ねえ、いいかげんやめませんか?」
雹が、覗き組に声をかける。
「いやいや。これからですよ」
「だから、僕を巻き込まないでください!!」
信乃の声は摂政の耳には入らない。否、聞こえていて無視されている。
「しょうがないですね、まったく…。施設をこわさないでくださいよ」
ため息まじりに久音が声をかける。
身体を洗い終わった雹が湯につかり、久音のそばまでやってくる。
「止めなくていいんですか?」
「どっちもどっちですからねえ」
久音の返答に、なるほどとうなずく雹。
しばらく女湯とのしきりの、木製の壁を眺めていた摂政。
「この高さなら、肩車すれば見えるんじゃないですかねえ」
「おお!肩車!」
「煤v
そこまでして見たいのか…。
信乃の目がそう語っていた。
「さちひこさん」
「摂政さま」
じゃんけんぽん!として
「私の勝ちですね。じゃあ、お先に上を♪」
「あとで代わってよ」
さちひこが摂政を肩車して、摂政を持ち上げる。


その時、岩に登ったみぽりんと目が合った。
「あ、摂政さま〜」
「やあ、みぽりん♪楽しんでるかい?」
「はい〜」
高いところで、暢気に会話する二人。
「見えたか〜!!おーい!」
「う〜ん、微妙に下までは見えないですねえ」
「そうですねえ」
「重い〜!」
ここはお風呂である。当然、床は濡れている。
さちひこがぐらりとバランスを崩した。
「うわわわわわ〜〜〜」
そしてそのまんま、木製の壁に摂政もろとも倒れこんだ。
ばりばりばりとすごい音を立てて、壁は崩壊した。


「まったく…。施設をこわさないでくださいと言ったんですけどね」
静かに、久音が言った。
「そうだね。少しやりすぎかな」
いつのまにか着替えて、浴衣姿、ほんのり肌が桜色の姫巫女が続く。
「このままだと、誰も温泉を使えない。みぽりんは壁を直してから戻ってきてね」
「摂政さまと、さちひこさん、信乃さんもですよ」
姫巫女と久音の言葉にむーとなる3人。
「僕は巻き込まれただけですよー!」と信乃。
「運が悪かったですねえ」
気の毒そうに言う雹。
「では、これから、混浴ということで♪」
「そうしたら、誰も入りにこないよ」
摂政の言葉に姫巫女が反論する。
「では4人とも。お休みを移動していいから、直してから帰ってきてね。修理費用は、お給料から引いておくから」
「姫様〜〜」「そんなあ」
反論むなしく4人を置いて、姫巫女一同は政庁に帰ってしまった。


それから3日間、温泉は立ち入り禁止になり、現場からは、とんからとんから大工仕事をする音と、「なんで僕が〜」「壊したのは、摂政さまたちですよ?」「この際、壁に小さな扉をつけて…」「ぎゃーどうしてこんなことにー」などというぼやき声が聞こえてきたそうである。

壁に覗き用の扉がついたかはさだかではない。


                             おしまい

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:みぽりん投稿用  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/22(日) 19:26  -------------------------------------------------------------------------
   摂政さまへ、すくみず☆
ロリになってまった。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:みぽりん投稿用  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/22(日) 20:26  -------------------------------------------------------------------------
   すくみず2(笑)
初めてのプールデート。「あ、あんまり 見ないでね…」
なカンジ〜(笑)

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:みぽりん投稿用  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/4/23(月) 3:11  -------------------------------------------------------------------------
   洋風メイド摂政さまー。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p5104-ipbfp203tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : <  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/11(金) 19:12  -------------------------------------------------------------------------
   <SS>手紙

たすけて

くしゃくしゃな紙の切れ端に書かれた言葉。
大きく、筆圧の強い、まだ文字を習い始めた子どものような字である。
そして、紙には、水滴がかわいたような染みがあった。


政庁、摂政執務室。
摂政、七比良 鸚哥(ななひら いんこ)は、書類の間から出てきた紙を、さきほどからずっと眺めていた。
どうみても子どもの書いた字。
 しかし、いたずら書きとは思えない真剣さを感じるのだ。
 ――――事件、事故……
 不吉な言葉が頭をよぎる。
 しかし、いまのところそのような報告はうけていない。
(さあ、どうしたものか)
顎に手をあて、考え込む。
やはり、調査隊を手配したほうがよいだろう。
そう結論づけたときだった。

「摂政」
小さな声がした。
「はい、おります」
返事をしながら扉を開ける。
そこにいたのは、姫巫女、藻女(みずくめ)だった。
「外交のことで、お願いしたいことがあって」
「ああ。それはわざわざすみません」
扉をおさえて、姫巫女を中に招き入れる。
「これは?」
ふと、姫巫女の目が、執務室の机におかれた紙に向けられる。
「今日の書類にまぎれていました」
 念のため調査を、と言葉をつづけようとしたとき
「探しにいくよ」
真剣な目で、姫巫女がそういった。
「姫巫女さま、自ら行かれるおつもりですか。危険です」
 いやな役目だな、そう思いながら姫巫女に進言する。
「たすけを求めているんだよ。ほっておけない」
「―――わかりました」
ちいさなため息をこぼし、少し笑って摂政が言う。
「私もお供します」


「すみません。休暇だったのでしょう?」
摂政は、となりのあすふぃこに声をかける。
「いいえ。いいんです。このくらい仕事のうちにはいりません」
凛とした声であすふぃこが返す。
普段は国境警備の任についているあすふぃこがいれば、護衛として心強い。
姫巫女を守るのに、摂政、あすふぃこ、みぽりんの3人。
多くはないが、みぽりんがBMであることを考えても質は十分である。
「姫様〜、どこからさがすですか〜?」
みぽりんの、どこかのんきな声もする。本人いたって大真面目なのだが、傍からは全くそうみえないのが不思議である。
「とりあえず、子どもの集まるところにいってみようと思う」
「はいです!」
 一同は保育園に向かうことにした。

「え?なにか困りごとですか?」
保育園の職員が、うーんと首をかしげる。
「思い当たりませんか?」
「ええ」
「困っているような子どもはいない?」
姫巫女の真剣な表情に、困ったように、お役に立てずごめんなさいとあやまる職員。
広場に集まる子どもたちは元気に鬼ごっこやら、ままごとやらで楽しそうだった。
「ここじゃないみたいだね」
次に行こうと、姫巫女が促した。

昼下がりの畑では、農作業の真っ最中。
姫巫女の姿をみるとみんなにっこり笑って、ぺこりと頭を下げる。
笑顔で手を振り答えながら、姫巫女は周囲を眺めた。
「ここも違うみたいだね。次に行こう」
「じゃあ、今度は森へいってみませんかあ?昔よく遊んだですよ。きっと子どもがいるですー」
 みぽりんの提案で、一同は森に向かうことにした。

夕暮れ時。
森では保育園よりも大きな子ども達が、木に登ったり、ぶら下がって遊んでいた。
「あ、姫巫女さまだ!!」
 遊んでいた、6〜7人の子どもたちが姫巫女のまわりに集まってくる。
「姫巫女さま、こんにちは」
「おでかけですか?」
「うん。ところで、困っている子どもを探しているんだけど、心当たりはない?」
みんな、う〜んと考え込む。
「あ、そういえば、ほら!あいつ!」
「あ!」
「姫巫女様、いつも一緒にあそぶんですが、3日前から遊ぶ時間になるとどこかにいってしまう子がいます!」
「私、こっちのほうに入っていくのを見た!!」
「案内して」
 子どもたちにつれられて、向かった先でみたものは、大怪我をした子猫を、ぽろぽろ涙をこぼしながら看病する男の子の姿だった。

 姫巫女と摂政の姿を見た男の子は、こらえていたものを吐き出すように大泣きした。
「あなたですか?手紙をくれたのは」
「姫巫女さまあ!助けてください!!この子が死んじゃう!!」
「わかりました。よくがんばりましたね」
 藁に寝かされた子猫を、姫巫女は衣装が血で汚れるのもかまわず抱き上げる。
「政庁につれてゆきます。また、様子を見にきてください」
 男の子は、しゃくりあげながら、何度もうなずいた。
「どうして内緒にしていたんだよ!みんなでなんとかできるかもしれないのに!」
「だっ…て、犬の国、だから…」
 おおらかな国民性である。たとえ猫を家につれ帰っても怒られることはないだろう。
 しかしそんな民のなかにも繊細な者がいる。
 犬の国であることを考えたら、どうしても言い出せなかったのであろう。
「今日はもう、お帰りなさい。あとは我々にまかせて」
 摂政の言葉にうなずき、何度も頭をさげながら、男の子は友達に支えられるようにして帰っていった。

 
子猫は一刻を争う状態だったが、姫巫女自らの看病と周囲の協力で次第に快方に向かっていった。
姫巫女の執務室に行くと、みゃあという可愛い声でお出迎えしてもらえるということで、執務室へ様子を見にくる人が増えた。
男の子も約束どおり何度も足をはこび、元気になる姿に大喜びしていた。
完全に回復したら、男の子の家で飼う予定である。


「なんだか、あわただしい休暇になりましたね」
休暇を終え、国境に向かうあすふぃこに摂政が声をかける。
 目をほそめ、あすふぃこはなんだか嬉しそうだった。
「どうしました?」
「いえ、姫巫女さまが変わっていらっしゃらなくて、良かったと。あのような方だから私は命をかけてお仕えしたいと思うのです」
 そうですね、と摂政。
 姫巫女は間違いなく民の心を救ったのだ。
「摂政さまもですよ。我々とは別に、調査させていたのでしょう?」
「ええ。なにかあってはいけませんから」
 あすふぃこがくすくすと笑う。
「では私は戻ります。姫巫女様のこと、よろしくおねがいします」
「お気をつけて」
 馬を駆り、国境に向かうあすふぃこの後姿が見えなくなるまで見送って、大きく伸びをした後、摂政は政庁に向かって歩きはじめた。


                              おしまい

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 上記は<SS>手紙  です。  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/11(金) 19:20  -------------------------------------------------------------------------
   出演は 摂政さま、姫様、あすふぃこさん、みぽりんです。

ご意見よろしくおねがいします。

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : あすふぃこさん  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/13(日) 16:52  -------------------------------------------------------------------------
   描いてみたー

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : みこみこ  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/13(日) 17:44  -------------------------------------------------------------------------
   巫女服というより、巫女さんのお昼ねー

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : ちゃいな  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/13(日) 19:38  -------------------------------------------------------------------------
   ちゃいな ちゃいな♪

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : ちゃいな ぱーと2  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/13(日) 23:23  -------------------------------------------------------------------------
   ちゃいなー

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 姫様・ぱれお  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/16(水) 23:14  -------------------------------------------------------------------------
   夏ー!!

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 摂政さま水着  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/17(木) 0:17  -------------------------------------------------------------------------
   みなさまの期待に答えまして。

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 摂政さま水着ー。  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/17(木) 23:21  -------------------------------------------------------------------------
   「きれいなおにいさんは、すきですか」(笑)

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : たけきのこさま  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/18(金) 21:32  -------------------------------------------------------------------------
   たけきのこさまー。

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : ゴスロリ摂政さま  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/22(火) 3:29  -------------------------------------------------------------------------
   ひまわり〜!!

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : せくしー摂政さま  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/23(水) 4:04  -------------------------------------------------------------------------
   せくしー☆

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 女装もりむらさん  ■名前 : みぽりん@わかば  ■日付 : 07/5/24(木) 1:28  -------------------------------------------------------------------------
   女装森村さん☆

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@p4238-ipbfp202tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp>
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